三共堤・丸田沢堤の自然
コケイラン Oreorchis patens (ラン科)
すくっと伸びた一本の茎に30個ほどの花が,まばらな穂を作るように並んでいる。自生しているランの仲間は地味なものが多いが,これも周囲の草に溶け込み,目が慣れていないと見落としてしまいそうだ。
1つ1つの花は萼部分も含め1.5cm前後で,唇弁(赤い斑点のあるフリルのついた花びら)は両側端が奥の方で裂けて分かれ,左右の小さな花びらのようになっている。唇弁の中央奥は人の舌のように見える。上から伸びているもう1つの小さな花びらのように見えるのは雌しべだ。
日陰の道端に一株だけ,根本には笹の葉状の葉が2枚あるはずだが,すでに黄色に変色し外れてしまっている。
一体この植物はいつ光合成をして栄養を蓄えるのだろうか。
恐らくこれも,共生菌類に栄養の多くを依存しているのかもしれない。
目立たないが,むしろそのまま目立たずにいて欲しい。そして,草刈りからも運良く免れることを祈るのみである。