三共堤・丸田沢堤の自然
ヤマユリ Lilium auratum (ユリ科)
ヤマユリ
時に自然は,無理な設計をする。
植物が自身の力で形を維持し成長し子孫を残すには,地球の重力に抗うためのしくみが必要であり,木化しない柔軟性を残した機械組織と細胞自身が溜め込んだ水による膨圧とで体を支えるには,各部位ごと適切な大きさ・比率というものが重要である。
ヤマユリの花
非常に面倒な書き方をしたが,要するに「頭が大きすぎる」ということだ。それとも林内に生育するその他の植物に支えてもらうことを前提としているのだろうか。
ヤマユリの花拡大
もちろん,たいていはなんとか持ちこたえて花を終える。しかし,雨風に遭えば,たちまち倒れてしまう。そんな理屈に合わないようなことでも,生物は気にしない。こういうのを「適応」と言うのだろうか。
ヤマユリの花横顔
そんなことはどうでもいいじゃないの,と言いながら,花を揺らし,葯を揺らして咲いている。
ヤマユリ
ユリは花粉が多く,服などに触れると厄介だが,この程度の時期なら大丈夫かもしれない。葯の側面が割れ始めたばかりだ。
ヤマユリ
割れた葯の側面からたくさんの花粉がのぞいている。