アクモニスチオン・ザンゲリ Akmonistion zangerli
アクモニスチオン
スコットランドの古生代石炭紀層から見つかったサメの一種で,第1背鰭の上端が鉄床状(あるいはアイロン台状)になっているのが特徴である。ステタカントゥス科(Stethacanthidae)は,アジア,ヨーロッパ,北アメリカのデボン紀後期から石炭紀前期の地層から見つかっているので,この種も同時期に生息していたと考えてもいいのかもしれない。
アクモニスチオン
ステタカントゥスの標本は十分に整理されていないようだ。それに対し,このスコットランドの標本は優れて完全なものであるため,そのことを考慮し,ステタカントゥスとは別の属Akmonistionを立て,別種として記載された。属名は,鉄床,帆を表す古代ギリシャ語akmonとistionにより,種名zangerliは,古生物学者Rainer Zangerl(故人)の古魚類学への功績に敬意を示したもの1)
アクモニスチオン
体長は60cmほどで,結構眼が大きい。特徴的な背鰭ブラシ複合体は,背鰭部が鰓裂(5裂)の上部に,ブラシ部が胸鰭上部に位置している。
背鰭部は鰓条のない板状の構造で,ブラシ部と基部でつながっている。ブラシ部は表面が石灰化軟骨でできた中空軸が束状に覆ったもので,そのためにブラシ状に見えるる。繊維状構造として分離することはできない。全体として,石灰化軟骨が主な構成のようで,どちらも鰭基部が延長して特殊化した構造のようだ。ブラシ頂端は皮歯状の構造が整列しており,頭部背面にも同様の構造が見られる1),2),3)
アクモニスチオン
背鰭ブラシ複合体と頭部背面の皮歯の役割は,配偶行動,捕食者への脅し,より大きな海生動物に(コバンザメのように)くっつくため,などいろいろな案が議論されているが,結局のところ不明である。
胸鰭にも長い鞭状の構造物が付属しているが,これも配偶行動で使われたものかもしれない。腹鰭には交接器(クラスパー)がついている。
アクモニスチオン
特徴的な背鰭は素早い加速には不向きであり,底生の無脊椎動物を捕食したり,腐肉を探して生活していたと思われる(スカベンジャー)。消化管には,節足動物外骨格断片,魚類の鱗などが残っていた1)
アクモニスチオン
製作にあたっては,Coates et al.(2001)1) ,Coates et al.(1998)2) ,Zangeri (1984)3) ,Wikipedia4), 5) ,ウィキペディア6) を参照した。
2018.8 - 2018.9 製作