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ボトゥリオレピス Bothriolepis canadensis
(ボトリオレピス)
ボトゥリオレピス #01
ボトゥリオレピス類は,板皮類(Placoderm)の中のantiarch類に属するデボン紀後期の魚類である 1), 4)。ほぼ世界中で発見されており、恐らくは板皮類で最も知られた魚類の1つと思われる 1), 4), 6)。 ボトゥリオレピス・カナデンシス(Bothriolepis canadensis)は、60種以上 1)も記載されているボトゥリオレピス属(Bothriolepis)の中でも代表的な種である。
ボトゥリオレピス #02
ボトゥリオレピス・カナデンシスは体長44cmほどで、頭胸部は鎧のような甲皮で覆われており、全体長の36%ほどである 1)。体の後半部には骨化した脊椎はなく、鱗も確認されていない 1)
全体長の約35%の長さになるボトゥリオレピス・カナデンシスの胸鰭についてはさまざまな提案があるが 1)、水底から上昇するなど(上下の)舵としての役割は可能性があるが、その可動範囲から遊泳のための推進器官としての役割はあまり期待できない。
ボトゥリオレピス #03
口は体の先端腹側にあるが 1), 6)、眼は以前考えられていたほど背面を向いておらず、むしろ前方を向いている 1)。ボトゥリオレピスは、尾鰭をくねらせることで泳いでいたと思われ、水底や水底近くで生活し、水中の小さな無脊椎動物を捕食したり、堆積物の中の破砕物を摂取していたのだろう 1)
ボトゥリオレピス #04
ボトゥリオレピス類は淡水環境に生息していたという考えもあるが、見つかっているのは河口付近や礁といった沿岸海洋環境であり(例えば、カナダのEscuminac層 4)、オーストラリアのGogo層 3), 5), 6))、海洋境界部に生息していたと考えられる 3), 5)
ボトゥリオレピス #05
合衆国ペンシルベニア州Catskill層の単一層理面から稚魚の化石が多数見つかっており、生育地での水面低下による酸欠・乾燥で大量死が起こったものと考えられている 2)
ボトゥリオレピスの稚魚はデルタ地帯や河川支流の浅瀬など、流れがほとんどない場所で集団で生育していた可能性もあり、あるいは稚魚の間は淡水性だった可能性や、成体も淡水・海水両方の環境を行き来できていた可能性も考えられる。
ボトゥリオレピス
2014年8月 制作
2022年4月-6月 再制作
参考文献・サイト:
  1. Béchard I, Arsenault F, Cloutier R, Kerr J (2014) The Devonian placoderm fish Bothriolepis canadensis revisited with three-dimensional digital imagery. Palaeontologia Electronica 17(1.2A): 19p. (DOI:10.26879/417)
  2. Downs JP, Criswell KE, Daeschler EB (2011) Mass Mortality of Juvenile Antiarchs (Bothriolepis sp.) from the Catskill Formation (Upper Devonian, Famennian Stage), Tioga County, Pennsylvania. [abstract] Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia 161(1):191-203. (DOI: 10.1635/053.161.0111). (The full-text was referred to ResearchGate.)
  3. Goujet D (2011) "Lungs" in Placoderms, a persistent palaeobiological myth related to environmental preconceived interpretations. Comptes Rendus Palevol 10(5–6), 323-329. (DOI: 10.1016/j.crpv.2011.03.008)
  4. Miguasha National Park - From water to land - (- An ancient estuary -, - Antiarchs -, and - Bothriolepis -) (Retrieved 29 June 2022.)
  5. Trinajstic K, Briggs DFG, Long JA (2021) The Gogo Formation Lagerstätte: a view of Australia's first great barrier reef. Journal of the Geological Society 179 (1), jgs2021–105. (DOI: 10.1144/jgs2021-105)
  6. Young GC (1984) Reconstruction of the jaws and braincase in the Devonian placoderm fish Bothriolepis. Palaeontology 27(3), 635-661.