paleozoic aquarium banner
エンテログナトゥス Entelognathus primordialis
エンテログナトゥス #01
エンテログナトゥス・プリモルディアリス(Entelognathus primordialis)は、中国雲南省シルル紀後期のKuanti層から発見された板皮類の一種である 2)
属名のEntelognathusは、ギリシャ語の"enteles"(完全)と"gnathos"(顎)合わせたもので、種小名primordialisは原初的という意味のラテン語"primordialis"に由来する 2)
エンテログナトゥス #02
2013年に発見されたこの魚類は、頭胸部は板皮類と同じように装甲で覆われており、大きいものは体長20 cmを越えると考えられる 2)。この魚類の特筆すべき点は、硬骨魚の特徴である前上顎骨(premaxilla)、上顎骨(maxilla)、歯骨(dentary、下顎骨)を持っていることである 2)
エンテログナトゥス #03
エンテログナトゥスが見つかったKuanti層は、海生生物の化石を多数含んでおり 1)、エンテログナトゥスも海水魚ということになる。眼や口の位置から、おそらくは海底付近を遊泳しながら小型動物を餌とする肉食性の捕食者だったと思われる。
エンテログナトゥス #04
エンテログナトゥスは、顎口類ステムの上位近く、顎口類クラウン直下の姉妹グループという提案がなされている 1), 2)。エンテログナトゥスの顎が、やがては硬骨魚の顎へと進化していったのであれば、我々を含めた有顎脊椎動物の進化のシナリオを理解する上での大きな手がかりを与えてくるものとなるだろう。
エンテログナトゥス
2023年6月 - 2023年12月 制作
参考文献・サイト:
  1. Choo B, Zhu M, Qu Q, Yu X, Jia L, Zhao W (2017) A new osteichthyan from the late Silurian of Yunnan, China. PLoS ONE 12(3): e0170929. (DOI: 10.1371/journal.pone.0170929.)
  2. Zhu M, Yu X, Ahlberg PE, Choo B, Lu J, Qiao T, Qu Q, Zhao W, Jia L, Bloom H, Zhu Y (2013) A Silurian placoderm with osteichthyan-like marginal jaw bones. [abstract] Nature 502 : 188 - 193. (DOI: 10.1038/nature12617.) (The full-text was referred to ResearchGate.)