プテリゴトゥス Pterygotus anglicus
プテリゴトゥス(Pterygotus anglicus)は、デボン紀初期のウミサソリの一種(eurypterida目、pterygotidae科)である 4)。スコットランドやカナダなどから見つかっている 4)。ウミサソリ類(eurypterida目)の中には2 mを越える種もあり、最大の節足動物である 2), 4)。
「サソリ」と呼ばれ、実際形態も似ているように見えるが、ウミサソリと現生の陸生サソリとは特別に近縁というわけではないようだ 2)。ウミサソリ類の進化・系統についてはまだ課題が多く残っている。
体長 1 m前後、歩脚(第Ⅱ〜Ⅴ肢)は細く、第Ⅵ肢はパドル状をした遊泳肢で、その基節は顎基となっており、食物をつぶす役割をしている 4)。
第Ⅰ肢は大きな鋏角であるが、食物を切断することはできても潰すことには向いておらず、プテリゴトゥスは腐食生で、遺骸や小動物などを摘んで食べていたと思われる 4)。
腹側には蓋板(鰓蓋)があり、その内側に書鰓を、そして蓋板で覆われた腹面には"Kiemenplatten"と呼ばれる空気呼吸が可能な器官を備えており、ウミサソリ類は陸上でも呼吸ができたと考えられている 3)。
プテリゴトゥスが見つかっているのは河川によって形成された地層で、一部海とつながっていた環境であり、プテリゴトゥスは淡水生、あるいはラグーン(潟湖・礁湖)や河口付近などの汽水域で生活していたようだ 4)。
参考文献・サイト:
- Braddy SJ, Dunlop JA (1997) The functional morphology of mating in the Silurian eurypterid, Baltoeyrypterus tetragonophthalmus (Fischer, 1839). Zool. J. Linn. Soc. 120(4):435-461.(DOI:10.1111/j.1096-3642.1997.tb01282.x.)
- Dunlop JA (2020) Evolution: A Breath of Fresh Air for Eurypterids. Current Biology. 30(21): R1304-R1306. (DOI: 10.1016/j.cub.2020.09.052.)
- Lamsdell JC, McCoy VE, Perron-Feller OA, Hopkins MJ (2020) Air Breathing in an Exceptionally Preserved 340-Million-Year-Old Sea Scorpion. Current Biology. 30(21) 4316-4321.e2. (DOI: 10.1016/j.cub.2020.08.034.)
- Miller RF (2007) Pterygotus anglicus Agassiz (Chelicerata: Eurypterida) from Atholville, Lower Devonian Campbellton Fromation, New Brunswick, Canada. Palaeontology. 50(4): 981-999.(DOI:10.1111/j.1475-4983.2007.00683.x.)
2022年7月 - 11月 再制作