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カンブロラスター Cambroraster falcatus
カンブロラスター #01
カンブロラスター・ファルカトゥス(Cambroraster falcatus)は、カナダ・ブリティッシュコロンビアのカンブリア紀中期(約5億900万年〜5億450万年前)のバージェス頁岩から見つかったラディオドンタ目・フルディア科(Order Radiodonta、Family Hurdiidae)の一種であり 3)、中国南部の澄江化石群からもCambrorasterの一種が見つかっている 4)
属名は、カンブリア紀と前部付属肢の内突起が熊手状(レーキ状、rake-like)をしていることから、また種小名は頭部のH-エレメントが鎌状をしていることに由来する 3)。ルーカスフィルムの映画『スターウォーズ』に出てくるハン・ソロの宇宙船『ミレニアム・ファルコン号』に形状が似ているということも関係しているようだ 3)
カンブロラスター
体長は約30 cm、幅は最大で約18 cm 3)。前部甲皮複合体(シールド状の甲皮)が、全体長の半分以上を占めている 3)。この前部甲皮複合体は、中央に位置する幅の広い鎌形・馬蹄形のH-エレメントと、その下の左右側方に位置する2つのP-エレメントからなり、P-エレメントは前縁部でつながっている 3)
頭部腹側にはラディオドンタ特有の口器円錐があり、その両側に1対の前部付属肢がついている 3)
H-エレメントの後縁左右には窪みがあり、背側を向いた楕円形の眼が顔をのぞかせている 3)
カンブロラスター #02
口器円錐は、4つの大きなプレートが7つの小さなプレート列を挟んで放射四角形を構成しており、四角形の中央開口部内には鋸歯プレート配列が見られるる 3)
前部付属肢の断面は楕円形で、ほぼ同じ長さの内側に湾曲した5つの内突起を持つており、その前縁には長さが交互に変化する二次棘が多数並んでいる。 3)。全体として、熊手(レーキ)状で口器円錐を囲むような配置になっている 3)
カンブロラスター #03
胴体は短く断面が三角形状で、8対の側方フラップがある 3)。それぞれのフラップには、他のラディオドンタでも見られる薄葉の帯構造と思われるものが体の正中線付近から伸びている 3)。この構造は、最前フラップの前方にも3対見られる 3)。恐らく、setal blade(櫛状構造)と呼ばれているものであろう。
体の最後部には、小さな2対の尾鰭状構造が見られる 3)
カンブロラスター #04
体形からは敏捷な遊泳捕食者には見えない。付属肢も肉食性ではなく、濾過食性で海底近くで遊泳していたと考えられる 3)。付属肢を側方から中心に寄せて堆積物を舞い上げ、付属肢全体でバスケット状の構造を作り、二次棘で濾過した微小生物を口で吸引するという摂食形態が考えられている 3)
ただ、堆積物を掘り起こすには丈夫な付属肢が必要であり、カンブロラスターの付属肢は繊細過ぎるとして、懸濁食性であるという考えも報告されている 2)。あるいは、頭部の大きなシールドを使って堆積物を掘り起こしていたのかもしれない。そうして生じた懸濁状態に含まれる埋在微小生物を濾過していた可能性もある 2)
発見された化石群は脱皮殻で、集団生活の可能性を示している 3)
カンブロラスター #05
フルディア科の中でもカンブロラスターとティタノコリスは、同じ層理面から見つかっており 1)、両者の生存空間が重なっていた可能性がある。同じ大きさ、同じ種類の餌を同じような方法で摂食すれば競争が起こることになり、両者には何らかの摂食戦略上の違いがあったのかもしれない。
2022年1月 - 3月 制作