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ティタノコリス Titanokorys gainesi
ティタノコリス #01
カンブリア紀フルディア科の中でも最大級の体長50 cmに達するティタノコリス(Titnokorys gainesi)は、カナダ・ブリティッシュコロンビアのバージェス頁岩(カンブリア紀中期、5億900万年前〜5億450万年前)から発見された 1)
大きな頭部シールド、H-エレメントを持つことから、ギリシャ神話の巨人Titanとヘルメットを表すギリシャ語Korysから属名が与えられ、種小名は地質学(古生物学)研究者Robert R. Gainesに因む 1)
ティタノコリス #02
大きな卵型のH-エレメントと、2つの水滴状のP-エレメントから構成される頭部甲皮は、最大でそれぞれ約27 cm、約20 cm、全体長は50 cmに達すると見積もられる 1)
P-エレメントは前方の短いくびれた部分で互いにつながっている 1)
ティタノコリス #03
前部付属肢に多数の二次棘を持っていることから、底生で、堆積物を巻き上げ、その中から微小な生物を濾過して食べていたと考えられる 1)
ティタノコリス #04
ただ、ティタノコリスと似た形態のカンブロラステルは、付属肢が堆積物を直接扱うことには不向きであり、懸濁食性だったという議論もあり 2)カンブロラステルと同様な付属肢を持つティタノコリスも、堆積物を付属肢で掘り起こすのは苦手だったかもしれない。
ティタノコリス #05
ティタノコリスとカンブロラステルは、甲皮形状や体の大きさは異なるが、同じ層理面から見つかっており、どちらも同じような摂食器官(前部付属肢と口器円錐)を持っている 1)。したがって、両者は資源をめぐって競争関係にあったかもしれないが、一方で、このような動物群が共存できた背景として、それだけカンブリア紀の海底が豊かであったことを示しているのかもしれない 1)
ティタノコリス
全体的な形態はカンブロラステルと似ており、同一種の二形も考えられるが、甲皮などの精密な比較から別種となっている 1)
2022年1月 - 3月 制作