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フルディア Hurdia victoria
フルディア No.1
フルディア(Hurdia victoria)は、カンブリア紀中期に生きていたラディオドンタ目(order Radiodonta)の一種で、体は前後でほぼ同じ長さの2つの部分に分かれ、全体で20 cm程度 1), 2)、最大でも50 cmほどの大きさである 4)
属名"Hurdia"は、カナダ・ブリティッシュコロンビアのヨーホー国立公園にあるHurd山に由来し、種小名"victoria"も同じくVictoria山に由来する 4)
フルディア No.2
前半部は、1つの長い三角形状のH-エレメントと歪んだ1対のP-エレメントからなる甲皮で覆われている 1), 2)。これらの甲皮エレメントの背側後方には切り欠け状のくぼみがあり、そこから短い柄のついた眼が出ている 1), 2)
腹側には、内外二重の歯列で構成された円形の口がある 1), 2), 3)。外側の歯列は32の小さなプレート(うち4つは大きい)が放射状に配列し、側方から見てドーム状となっている 1), 2)。内側の歯列は四角い開口部の中に見られ、Hurdiaに特有のものと思われる 1), 2)
フルディア No.3
口の両側には、長い腹側棘を持つ1対の付属肢がある 1), 2)。付属肢の可動範囲はそれほど広くなく、素早い動きの餌を捕まえのは不得手のようだ 3)
体後半部は円筒形で 2)、背側正中線から腹側正中線に斜めに伸びる7〜9対の側方フラップがある 1), 2), 4)。各フラップの背側には皮針形の構造(細い葉状構造、セタル・ブレード"setal blade")が付いており、鰓のような呼吸器であろうと考えられている 1), 2), 4)。体は2つの丸みのある葉状構造で終わる 1), 2), 4)
フルディア No.4
おそらく、フルディアは海底付近をゆっくりと遊泳し、口の外歯を外に返す際の吸引力で、小さな餌となる動物を丸ごと飲み込むように捕食していたのだろう 2), 3)
さらには、頭部甲皮は海底の堆積物を掘り起こして舞い上げ、出てきた小動物を付属肢が形作る「バスケット」内に誘導する漏斗として使われていたのかもしれない 2), 4)
フルディア
頭部甲皮は、頭部から前方に突出し後縁だけが頭部を覆っているのではなく、カンブロラステルのように、頭部のほとんどを覆っており、したがって口器や前部付属肢は眼の位置よりもずっと前方にあった、という議論もある 5)。また、体側のフラップについても、背側・腹側両方に2対あるという解釈もある 6)
2017年3月 制作
2023年3月〜6月 再制作
参考文献・サイト:
  1. Daley AC, Budd GE, Caron JB, Edgecombe ED, Collins D (2009) The Burgess Shale Anomalocaridid Hurdia and Its Significance for Early Euarthropod Evolution [Abstract] Science 323 : 1597-1600. (DOI: 10.1126/science.116951) (The full-text was referred to ResearchGate.)
  2. Daley AC, Budd GE, Caron JB (2013) Morphology and systematics of the anomalocaridid arthropod Hurdia from the Middle Cambrian of British Columbia and Utah. [abstract] J. Sys. Palaeontol. 11(7):1477-2019. (DIO:10.1080/14772019.2012.732723".) (The full-text was referred to ResearchGate.)
  3. De Vivo G, Lautenschlager S, Vinther J. (2021) Three-dimensional modelling, disparity and ecology of the first Cambrian apex predators. Proc. R. Soc. B 288: 20211176. (DOI: 10.1098/rspb.2021.1176.)
  4. Hurdia victoria - The Burgess Shale (Royal Ontario Museum).
  5. Moysiuk J, Caron JB (2019) A new hurdiid radiodont from the Burgess Shale evinces the exploitation of Cambrian infaunal food sources. Proc. R. Soc. B 286:20191079. (DOI:10.1098/rspb.2019.1079)
  6. Van Roy P, Daley AC, Briggs DEG (2015) Anomalocaridid trunk limb homology revealed by a giant filter-feeder with paired flaps. [abstract, Supplementary Information] Nature 522:77–80. (DOI: 10.1038/nature14256.) (The full-text was referred to ResearchGate.)