ミクロブラキウス Microbrachius dicki
ミクロブラキウスは河川や湖の堆積層から見つかっており 2)、淡水環境に生育していたと思われる。ただ、他のantiarchでは海水生のものもあり、あるいは河口付近などの汽水域も生息域に含まれるかもしれない。
ボトゥリオレピス(Bothriolepis)同様、頭部腹側に口が開口していたことから、食性もボトゥリオレピスと同じように、水底の堆積物中に生育する無脊椎動物を捕食したり、堆積物中の有機物を摂取していたのではないかと思われる。
顎口類(顎を持つ脊椎動物)の体内受精は体外受精の後で進化してきたと考えられてきたが、ミクロブラキウスが顎口類基底部のメンバーであることを考えると、このミクロブラキウスの交接は、脊椎動物の生殖の進化の道筋を考える上で、また板皮類の系統・分類を考える上でも新たな課題を投げかけるものである 1)。
雄:腹側の後方側プレート(posterior ventrolateral plate)にクラスパー(clasper)が付いている。
尾鰭の先端に婚姻色(bleeding color)を配してみた。
尾鰭の先端に婚姻色(bleeding color)を配してみた。
雌:雄のクラスパーの位置に生殖のための皮骨板(genital plate)が付いている。
参考文献・サイト:
- Long JA, Mark-Kurik E, Johanson Z, Lee MSY, Young GC, Min Z, Ahlberg PE, Newman M, Jones R, Blaauwen J, Choo B, Trinajstic K (2015, Published 2014) Copulation in antiarch placoderms and the origin of gnathostome internal fertilization. [abstract only] Nature 517, 196-199. (DOI: 10.1038/nature13825). (The full-text was referred to ResearchGate.)
- Long JA, Mark-Kurik E, Johanson Z, Lee MSY, Young GC, Min Z, Ahlberg PE, Newman M, Jones R, Blaauwen J, Choo B, Trinajstic K (2015, Published 2014) Supplementary Information for "Copulation in antiarch Placoderms etc:" nature13825-s1. (or, ResearchGate
- Mark-Kurik E, Newman MJ, Toom U, Blaauwen JLD (2018) A new species of the antiarch Microbrachius from the Middle Devonian (Givetian) of Belarus. Estonian Journal of Earth Sciences 67(1) 3-13. (DOI: 10.3176/earth.2017.22.)
体の後半部については、Bothriolepisの資料 (Béchard et al, 2014) を参考にした。