ウィワクスィア Wiwaxia corrugata
(ウィワクシア)
(ウィワクシア)
体長は最大でも5cm程度である。ウィワクスィアは,腹面をのぞいて全身が葉状の硬皮(sclerite)で覆われており、背部には先端部がゆるく湾曲した短剣状の棘構造の配列が見られる 1)。
これらの鱗状硬皮は、背面、側面、腹側周縁などで形状が異なる。また、背部の棘も等間隔に並んでいるわけではない 1)。
鱗状硬皮や背部の棘には回折格子状の線条が見られ、マーレラ同様に、深度や光の角度で反射光の色が異なっていた可能性がある。このような構造色は、背部の棘と合わせ、捕食者からの防御の役割を果たしていたと考えられる 2)。
腹側表面には口器以外に明瞭な構造の痕跡は見られず、また運動器官も付属肢も、眼、触角などの感覚器も見られない 1)。
形態からは、ウィワクスィアが泳いでいる姿は想像し難い。ちょうどヒザラガイ(多板綱)やカタツムリ(腹足類)のように腹側の筋肉質の「足」で海底の堆積物表面を這い回っていたのだろう、つまり表在性生物だったと思われる。藻やバクテリアでできた基質を掻き取って食べていたか、あるいは排泄物中の有機物を食べていたのかもしれない。
小さな標本には背中の棘がないことから、小さな幼体は埋在性、すなわち、捕食から逃れるために堆積物の中で生活していたことが考えられる 1)。
参考文献・サイト:
- Conway Morris S (1985) The Middle Cambrian Metazoan Wiwaxia corrugata (Matthew) from the Burgess Shale and Ogygopsis Shale, British Columbia,Canada. Phil. Trans. R. Soc. B 307:507 –582. (DOI:10.1098/rstb.1985.0005.)
- Parker AR (1998) Colour in Burgess Shale animals and the effect of light on evolution in the Cambrian. Proc. Biol. Sci. 265(1400): 967-972. (DOI:10.1098/rspb.1998.0385.)
- Smith MR (2012) Mouthparts of the Burgess Shale fossils Odontogriphus and Wiwaxia: implications for the ancestral molluscan radula. Proc.R.Soc.B. 279: 4287-4295. (DOI:10.1098/rspb.2012.1577.) Data from : Ontogeny, morphology and taxonomy of the soft-bodied Cambrian ‘mollusc’ Wiwaxia. DRYAD (DOI:10.5061/dryad.868sm.)
2020年9月-10月 再制作