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古生代の概要
古生代は、6つの時代(紀)、カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀に分けられている。
古生代では、多細胞生物の爆発的な多様化により現生動物の祖先のほとんどが出揃った。始めには、巨大な大陸が1つの大きな大陸と、より小さないくつかの大陸に分かれていった。生命は陸上に進出し、一部の昆虫は空を翔ぶようになった。終わりには、それぞれの大陸が再び集合して超大陸を形成し、90% もの種が絶滅、そして古生代は幕を閉じた 7)。
動物の爆発的な多様化には、酸素レベルの増加が大きく関わっているのではないかと言われている 1), 5)。
カンブリア紀以前のエディアカラ動物群は、海底のバクテリアシート上でほとんど動くことなく、バクテリアを食べたり、沈殿物から有機物を直接摂取したりといった生活をしていた。そこには、動物同士による食う食われるの関係はまだない 1)。
光合成を発明したシアノバクテリアなどは、不要な酸素を放出したが、それが水中に蓄積していき、現在の酸素レベルの数%という値にまで達したが、当然、それは現在の魚類ならほどなく窒息してしまうレベルである。それを境として他の動物を捕食することで栄養を確保する動物が出現するようになった。捕食被食の関係が地球の生態系に出現したのだ 1), 5)。
捕食者も被食者も、運動組織とそれを制御する的確な情報処理が必要であり、そのためには多量のエネルギーを消費する。酸素呼吸によるエネルギー生成を十分に保証するには、ある程度の酸素濃度が必要になってくる。低酸素の古生代海洋を模した研究からも、多様な食物網を支えるには、高レベルの酸素が必要であることが明らかにされている 6)。肉食の誕生によって動物は軍拡競争を展開することになった。
捕食者は、その機能を保証するための体の構造を発明した。餌となる他の動物を捉えるための運動器官、筋肉、協調的な動作を可能にする中枢を備えた神経系、それらに外界の情報を提供する感覚器、機能の効率性を考えての中枢と感覚器を体の前方部に集め、その頭部に餌を体内に入れた後、消化吸収するための腸管を体の長軸に沿って配置し、廃棄物は後方から排出するための肛門を開通させた 3)。
現生動物の体制として極めて一般的な左右相称形の発明である。
これら左右相称動物の形態形成は、酸素濃度、海水面水位、無機塩類濃度など、環境要因や生態学的要因が満たされたとしても、完成させることはできなかっただろう。動物体内に、そのような構造を形成するに必要な遺伝子群が用意される必要があったはずだ 3)。しかし、それはそれほど大変な仕事ではなかったかもしれない。まったく新しい遺伝子を多数発明する必要ななかったということだ。
参考文献・サイト:
- Fox D (2016) What sparked the Cambrian explosion? Nature 530 : 268–270. (DOI:10.1038/530268a).
- Hrycaj SM, Wellik DM (2016) Hox genes and evolution [version 1; peer review: 3 approved]. F1000Research 5 ((F1000 Faculty Rev):859. (DOI:10.12688/f1000research.7663.1)
- Holland PW (2015) Did homeobox gene duplications contribute to the Cambrian explosion? Zoological Lett. 1(1). (DOI: 10.1186/s40851-014-0004-x)
- Pappas S (2013) Paleozoic Era: Facts & Information. Live Sience June 20, 2013
- Smithsonian Environmental Research Center - Forces of Change, Atmosphere -
- Sperling EA, Frieder CA, Raman AV, Girguis PR, Levin LA, Knoll AH (2013) Oxygen, ecology, and the Cambrian radiation of animals. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 110(33):13446-13451. (DOI: 10.1073/pnas.1312778110)
- UCMP - University of California Museum of Paleontolgy - (Legacy Exhibits Online, Tour of Geologic TIme)
- International Commission on Stratigraphy - International Chronostratigraphic Chart v 2023/06.